第2学期始業式でのメッセージ


 大阪府立旭高等学校 
  校長 横山 正美

第2学期始業式でのメッセージ

校長 横山 正美

 皆さんお早うございます。例年にない猛暑が続いた夏休みが終わり、第2学期の始業式
を迎えました。
 今年の夏を振り返ると思い出に残る2つの出来事がありました。1つは、第86回目を迎え
た全国高校野球選手権大会での熱戦です。4,116校が参加した今年の大会では、駒沢大苫
小牧が激戦をのり越え栄冠を手にし、深紅の優勝旗が大会史上はじめて北海道にわたりま
した。私たちの旭高校野球部は初戦で東海大仰星とあたり、残念ながら破れましたが、素
晴らしいプレイでした。健闘をたたえたいと思います。
 もう1つは、8月14日に開幕し、後半戦に入っているギリシャ・アテネのオリンピックで
す。日本チームは柔道、体操、水泳をはじめ素晴らしい成果を収めています。まさかの敗
退もありましたが、22日には女子のマラソンで野口みずき選手が前回のシドニー五輪の高
橋尚子選手に続き、金メダルを手にしています。夢にむかって全力を傾ける姿には本当に
感動します。ここに至るまでにどれほどの努力精進があったことでしょう。
 アテネ五輪をみながら、私は一昨年の『高校生活』の冬号に載っていた新任の保健体育
の先生・河村未来さんという方の記事を思い出していました。3年生の中には読んだ記憶
があるかも知れません。河村さんは大学時代の国際合気道競技大会の女子乱取個人戦で優
勝した方です。河村さんは小学校1年の時にピアノを習いはじめたものの、椅子にすわっ
ているのがいやで、近くの町道場で少林寺拳法を週2回習いはじめ高校を卒業するまで12
年間続けたそうです。大学に入ると合気道部に入ったものの、女子が少ないのでやめたく
なった時もあるそうですが、そんな時に彼女の心の支えとなったのが高校時代の担任の先
生の言葉だったといいます。それは「いつも心に2つの夢を」という言葉です。彼女は高
校時代にはその意味がよくわからなかったそうですが、大学に入り合気道をする中で、大
会の優勝は小さな夢、大きな夢は「美しい人になること」だと思うようになった
といいます。河村さんにとって美しい人は見かけのことではなくて1つのことに自
分のすべてをかけて打ちこむ姿のことで、生き方といってよいでしょう。河村さん
は美しい人になることを大きな夢とし、身近な目標を小さな夢と考えている
のです。河村さんは2つの夢をもって生きることの素晴らしさを語りかけてくれています。
 実はアテネ五輪には旭高校の卒業生が参加しています。私も最近知ったのですが、40期
生の鈴木祐美子さんという方で、カヌーレーシングの女子カヤックに出場しているそうで
す。是非応援してあげてほしいと思います。ちなみに鈴木さんは旭に在学当時は女子バレ
ーボール部に所属していました。
 さて、いよいよ2学期のスタートです。この2学期は1年生にとっては初めての合唱コン
クール、3年生にとっては最後の文化祭、2年生にとっては海外修学旅行と思い出に残る学
校行事があり、3年生にとってはもう1つ進路の実現という大きなとりくみがあります。2
学期のとりくみにあたって胸突き八丁という言葉を特に3年生に贈りたいと思います。
胸突き八丁という言葉は登山からうまれた言葉で、富士山は8合目あたりから頂上ま
での登山が厳しいそうです。1丁というのは109mで、8丁つまり900m程が急な坂でそ
こを乗り越えるのに胸が突かれるように苦しくなるそうです。それでも目標に達するため
には、どうしても胸突き八丁をのりこえなければなりません。3年生の大いなる健闘
を期待しています。
 最後に、甲子園の夏の大会での富山商業・宮田拓也君の選手宣誓を思い出してみようと
思います。「今、この夏空にホームランを描くことを夢みて、感謝の気持ちを忘れず、豪
雨の被災者の方々にも勇気と感動を感じてもらえるよう、笑顔・元気・全力疾走でプレイ
することを誓います…」1学期の始業式の時に話したように、旭生は一人ひとりすばらし
い資質と能力を備えています。この2学期の秋空に君たち一人ひとりがホームランを描く
ことを夢みて、笑顔と元気と全力疾走ですばらしい成果を得るよう期待して、私からのあ
いさつとします。(8月24日)